
2軒めパリアパートは超庶民的な19区、メトロ7bisのこの「Botzaris」駅から歩いてすぐのところ。ここは2010年の2月の終わり、ニースからパリに戻って来て、お友達のアパートに少しお世話になった後、パリの端っこの危険地帯場末ホテルに移り、結局パリに戻って来て1か月近くかかって3月の終わりにやっと探しあてたお部屋でした。方法は日系の情報サイトの掲示板。もう不動産屋さんに頼むつもりはなかったし、その余裕もなかったし、渡仏前の右も左もまったく何もわからない状態ではなかったので、まわりの人たちもほぼ皆が見つけていたこの方法で。と言うかこの方法しか選択肢がなかったとも言えます。で、やっぱり大変で、このお部屋に辿り着くまで何軒も見に行き、わんこはダメ、と断られたり、保証人がいないとダメ、と言われたり。いつも坊やを専用バッグに入れて抱っこしての部屋探しは、いやいやいやいやきつかった~。滞在した危険地帯場末ホテルのそばではある夜、アラブ系の若者グループが坊やに唾を吐きかけたこともありました。その時はね、今考えたら恐ろしいのだけど、はじめその行為が信じられなくて固まっちまったの。でもへらへら笑いながら去っていく彼らに(女の子もいた)めらめら怒りがこみ上げてきて、その後ろ姿に、「あんたら汚ねぇんだよ~!」的なことを叫んだ~!叫んじまった~!そうしたらそうしたら、奴ら振り返って追っかけてきたの~!で、あたし全力疾走ですぐ近くだった自分の宿泊していたホテルに駆け込んだ!
セーフ!いやいやいやいや、これはどう考えても危ない行為だったです。いくら腹がたっても坊やと自分のために無視すべきでした。もう絶対しません。ってかあんな危険地帯に坊やをもう絶対連れていきません。あ、でもね、アラブの人が皆そうなわけではありません。私がなかなか部屋が見つからなくてとにかく安い宿泊所に移らなくてはの時、それを探してくれたのが2泊だけした15区のホテルのフロントのアルジェリア系の人。日本人の友達がいてとてもよくしてもらってるんだよ、って、私にもすごく優すぃかった。しかもぜんぜん下心とかそんなんじゃなくて超さっぱりあっさり。だから、結局人だなぁ、と、いろんな経験をここフランスで重ね、気づきました気づけました。そうそう久しぶりに会ったジュリーママ(娘ちゃんのパリの高校入学で滞在してる大事お友達)も、まったく同じことを言っておりました。さてさて話それたが、そうしてようやく決まったお部屋は初めてシェア・ルーム。1人がいいとかこんな場所でこんな部屋がいいとかいう贅沢は出来ませんでした。しか~しこのシェア・パートナーのAちゃんが本当に本当にいい子で、しかもお部屋も小さいけれど窓がたくさんある日当たりのいいお部屋で自分の部屋ももちろんあって、そしてこの下町19区がまたよかった。エッフェル塔近くのアパートも大好きだったけど、私には結局こういう方が合ってるなぁ、と。部屋探しめっちゃ大変だったけど、Aちゃんとこの部屋に出会うための苦労だったと思えるほどでした。ここに当たったことはね、本当にラッキーだったと今でも思っています。今でもAちゃんとはときどき会ってごはんなんか食べてる仲。半年しか一緒に住まなかったからかもよ、なんて思う人もいるかもだけど、Aちゃんはその前にも違うお部屋、違う人と、しかも同じ部屋で1年暮らした経験があって、その時もずっと仲良く楽しくやっていた、って言っていたので、これはもう人柄によるものだと思うのです。ただし、他のシェアしてる人の話を聞くと問題もよく起こっているよう。だからやっぱり人によるのかな。

すぐ近くにはビュット・ショーモンという、観光本にはたぶんほとんど出ていないけど、広々とした気持ちのいい公園があって坊やと毎日散歩に行きました。ここはね、公園入ってわりとすぐにあるカフェ。私は結局その年の秋の初めに旦那のパリ郊外にある今の家に移ったので、この公園の想い出はほぼ春と夏の一番いい時期なのだけど、ときどき寄ってみると秋冬はさすがに人気も多くなくて静か。でも少しでも暖かければジモティたちがひなたぼっこすぐしてます。この写真は今年の3月の終わりのもの。ちょうど私がやっとここで部屋を見つけ、入居できたのと同じ時期でした。私が住んだ年は春のパリのお天気がとても恵まれて、この時期でもすでに明るい日が多くて素敵だったのです。桜も咲いてねぇ。ニースからパリに戻るのもいろんな思いがあって、そしてやっと見つけた光いっぱいの部屋に住めて、この先どうなるかさっぱりわからなかったけど、それでも元気に坊やと桜を見れることを幸せだなぁ、と感じたものです。ま、アラブの子たちに追っかけられた時は心臓バクバクやったけど・・・。

このカフェはね、夏の夜の盛り上がりはハンパないんだよ。夕暮れから列が並ぶほどのお客さんの数になって、もう野外立ち飲み状態。夜中にはクラブ化して、踊る人、飲む人、騒ぐ人・・・。私も一度だけ、お友達に行こうと誘われて来たことがあります。夜遊びが大好きな人には夏の夜は結構おすすめです。とは言っても夜は静かにゆっくりが好きな自分は一度行ってみれば十分なんですけど。

19区自体が観光本にはほとんど出ていない私もまったく聞いたことなかった地区。でも、だから?よかった、かな。ここで、エッフェル塔とか凱旋門とかシャンゼリゼとかパッシーとか、それとは全く違う普通の庶民の暮らしの中にちょっと馴染めたような気がしています。

そうそう、ギニョール(フランス発祥の指人形劇)のテアトルもあって、夏のフェット・ドゥ・ラ・ミュージックの日はここでコンサートもあるし、野っ原では野外シアターが開かれるのです。私も今の旦那と夜11時くらいに映画観に行ったっけ。でも眠くて眠くて映画どころじゃなかったよ~。ははは。

そして19区の区役所はこの公園を抜けたすぐ向こう。私も一度フランスの国民健康保険に入りたくて、パンフレットをもらいに来たことがあります。19区はね、高級住宅街ではないので(どちらかと言うとその逆?)、7区や16区なんかのお金持ち住人さんが多くて政治的に保守系が強いところよりは比較的保険に入りやすいんだそう。これはパリの日系機関の方がおっしゃっておりました。結局私は申請中に引っ越すことになったのでこの19区で加入はしなかったのだけど、でも、私たち異国人、入りにくいより少しでも入りやすい方が、それは絶対いいと思います。海外保険切れてて、バイトしてる日系のお店でもほんとは共済保険に入れるのに入らせてもらえない人もたくさんいるのです。それもまたここパリの日本人社会の現実。どこの国の人がいいとか、人種とか関係ない。すべてはその人、なのです。
さてパリでの私のアパート探しの経験はこの2軒。ニースでの経験も書きたいのだけど、結構気合いがいるのでちょっと一休み。いつかさらに大変だったニース編も書きたいと思います。それではまたね~パイパ~イ